盆栽鉢の種類

鉢の構成

まずは、鉢の各部の名称から説明しましょう。図のように鉢は縁(エン)、隅(すみ)または角(かど)、胴(どう)、尻(しり)、足(あし)、穴(あな)などから成り立ちます。盆栽は中国を起源とするため、鉢名には中国語をベースにしてはいますが、日本(常滑)独自の表記がされています。

形状から常滑鉢の種類を説明しましょう。 縁(エン)の断面の形には、外縁(そとえん)、切立(きったて)あるいは単口(ひとえぐち)ともいう、内縁(うちえん)の3種類があります。外縁の丸いものを玉縁(たまぶち)ともいい、持ちやすいのが特徴です。一方、内縁は植え替えがしにくいとも言われます。

長角(長方)

小判(楕円)


正角(正方)

モッコ(木瓜)

六角

八角

花形

古鏡

輪花
上から見た縁(エン)の形には、長角(長方)、小判(楕円)、丸、正角(正方)、モッコ(木瓜)、六角、八角、花形、古鏡、輪花(りんか)などがあります。

角(隅)



隅入(入角)

隅入(入角)

撫角

隅切
角(かど)は隅(すみ)とも言われますが、本来の尖ったもの。角が入った隅入(すみいり)、丸い角の撫角(なでかく)、角を切った隅切(すみきり)などがあります。


タイコ(太鼓)

鉄鉢

南ばん(南蛮)

反形

ワン(碗)形

袋形

陣笠

クラマ
胴の種類として、タイコ(太鼓)、鉄鉢(てっぱつ)、南ばん、反形、切立、ワン(碗)形、袋形、陣笠、鋲打、クラマなどがあります。
胴の模様として:額入、窓入、帯、彫入などがあります。彫刻として山水画を彫ったものや様々な模様を浮き彫りにしたものがあります。

深さ(高さ)

深さの種類
深さを表す名前として:ラン鉢(蘭鉢)これは下方(げほう)といわれるものや、懸崖(けんがい)、大深(おおぶか)、中深(ちゅうぶか)、中浅(ちゅうあさ)、浅(あさ)、陶盤(とうばん)と低くなります。

足は焼物では高台(こうだい)ともいわれ、次のような種類があります。:切足(きりあし)、段足(だんあし)、雲足(くもあし)、鬼面足(きめんあし)

切足

切足

段足

段足

雲足

雲足

富士足

鬼面足

色(泥物:無釉)


烏泥

朱泥

ネズ(鼠色)

桃花泥

緑泥

ミガキ(磨き)

リヒ(梨皮)
釉薬の掛かっていない土味を活かした鉢の色としてこげ茶色の烏泥(うでい)、鉄赤の朱泥(しゅでい)、鼠色(ネズ)、桃花泥(とうかでい)、緑泥(りょくでい)、磨いて艶をだした磨き(ミガキ)、還元焼成で燻したイブシ、炎の変化にまかせた窯変、わずかに紫味のある紫泥(しでい)、なしの皮のようにつぶつぶのあるリヒ(梨皮)などがあります。

色(釉薬物)

釉薬の色として青い流れ模様のある海鼠(なまこ)、緑色の織部(おりべ)、白(クリーム)、黄、青紫色の均窯(きんよう)、濃い青色の瑠璃(るり)、血の赤色といわれる辰砂(しんしゃ)、淡い青緑色の青磁(せいじ)、白交趾(しろこうち)、イラボ(伊羅保)、三彩、アメ、ロキン、灰釉などがあります。

大きさ

大きさ:鉢の大きさを表すのに外寸法mmが使われていますが、焼物であるゆえにミリ単位で揃えることはかなり難しいものです。昔からの尺間法も依然として使われています。一寸=約3cmなので、5号といえば5号×3cm=約15cmの鉢と容易に想像できるのです。注意しなければいけないのが、外寸法なので内寸法つまりどれくらいの樹が植えられるかはエンの種類や鉢の厚みによって異なることです。