盆栽とは。

盆栽は1000年以上前に中国で始まり、日本に伝わって発展した樹の芸術です。樹を器(盆栽鉢)に入れ、何年もかけて育てます。この盆栽鉢の最大の産地が「常滑」なのです。それではさっそく、盆栽とはどんなものか写真で見てみましょう。

Aの写真をご覧ください。盆栽を鑑賞する要素として
・「樹の品種(大きさ)」、
・「樹形」、
・「鉢名」、
などがあります。
写真Aは、「五葉松」という品種で高さ96cm、「直幹(ちょっかん)」という樹形、「誠山長方」という鉢です。「直幹」というのは、ほぼ左右対称で幹がまっすぐ上に伸びている形を指します。「誠山(せいざん)」というのは盆栽鉢の作者の屋号で、もちろん常滑の作家さんです。「長方」というのは鉢の形が長方形であることを意味します。樹の力あふれる立ち上がりと天を突くような形はいかがでしょうか。大きさが、感じられませんか。特に鉢から樹が立ち上がる部分を「根張り」といって時代感や大木感を感じる重要な鑑賞ポイントとなります。

写真Bは、「蝦夷松(えぞまつ)」上下100cm、「懸崖(けんがい)」、「行山六角」の作品です。「懸崖」というのは、鉢より下に枝が落ちているタイプで、自然界の断崖で風雨にさらされながら必死にしがみついて生きている樹を表現した形です。作家「行山(ぎょうざん)」さんの六角形の鉢が使われています。盆栽には樹に花を付けるものと付けないもの、紅葉するものとしないものがあり、日本では松と柏が主流です。

写真Cは、「かえで」60cm、「寄せ植え」という樹形で、鉢の作者は「黎鳳(れいほう)」さんの楕円です。「寄せ植え」は流れを感じさせる枝のつくりで、森や林、海辺などの情景を感じられる写実性を特徴とします。鉢は薄めのものを使い、奥行感を強調している楕円形のものです。このように樹の種類や形によって調和のとれた鉢を選びます。

写真Dは、「聖月(せいげつ)」と呼ばれる品種のさつきで、高さ38cm、「直幹」、「山秋切立長方」です。さつきは日本の盆栽界の中でも特色のある樹です。特徴として、自然のままで育てやすく、しかも奥が深いので初心者からマニアといわれる人たちまでの幅広い層に愛好家がいます。松や柏などとは違い花を咲かせるので、四季を通して楽しめます。そして、挿し芽(挿し芽は、植物の枝や茎、葉などを切りとって、土のなかに挿して根を出させて、新しい植物体をつくることをいいます。)などで簡単に増やすことができるなどがあげられます。「山秋(やまあき)」というメーカーの鉢で、「切立(きったて)」といい、ほぼ垂直にまっすぐ伸びた鉢面の長方鉢です。

写真Eは、小品盆栽といわれるもので、大きさおよそ10〜20cmの盆栽を飾り棚に並べたものです。盆栽はその大きさによって次のように分けていますが、その境はあいまいです。
豆盆栽:1〜3cm<ミニ盆栽:3〜10cm<小品盆栽:10〜20cm<貴風盆栽:20〜35cm<中品盆栽:35〜45cm<大物盆栽:45cm以上。鑑賞するために内玄関や床の間に飾ることが多いのです。上段右は「山もみじ」、「鴻陽楕円」で、「鴻陽(こうよう)」という作家さんの楕円鉢です。


上記の作品はA:遠藤誠次氏・国風展'70、B:渡辺健治氏・国風展'71、C:竹内信市郎氏・国風展'70、D:渡辺敏明氏・御殿場花季展、E:折原正司氏・国風展'70へ出品より